2018年4月17日<要旨>ローム株式会社(本社:京都市)は、UPS(無停電電源装置)や溶接機、パワーコンディショナーなどの産業機器やエアコン、IH(誘導加熱)などの民生機器の汎用インバータおよびコンバータでの電力変換に最適で、業界トップクラスの低導通損失※1)および高速スイッチング特性を両立させた650V耐圧IGBT※2)「RGTVシリーズ(短絡耐量※3)保持版)」、「RGWシリーズ(高速スイッチング版)」、あわせて計21機種を新たに開発しました。今回開発した新シリーズは、薄ウエハ技術および独自構造を採用することで、トレードオフの関係にある低導通損失および高速スイッチング特性において、業界トップクラスの性能を両立しました。例えば、インターリーブPFC回路で使用した場合、従来品比で軽負荷時に1.2%、重負荷時に0.3%の高効率化を達成し、アプリケーションの低消費電力化に貢献します。またデバイス内部の最適化を行うことで、スムーズなソフトスイッチングを実現。同等効率の一般品と比較した場合、電圧のオーバーシュート※4)を50%低減できたことで、従来必要とされていた対策部品などの搭載点数を削減するとともに、大幅な設計負荷低減に寄与します。なお、本シリーズは、12月より当面月産10万個の体制で量産(サンプル価格400円~/個:税抜)を開始しております。生産拠点は、前工程がラピスセミコンダクタ宮崎株式会社(宮崎県)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand)(タイ)となります。<背景>近年、IoT化によるデータ量増加にともない、データセンターの高機能化が求められています。サーバー本体はもちろん、本体電源の安定供給を行うために不可欠なUPSなどを含め、システム全体で消費電力量が大幅に増えており、低消費電力化が課題となっています。また、IGBTを使用する大電力アプリケーションでは、機器の信頼性確保のため、デバイスの故障や機器の誤動作につながるスイッチング時のオーバーシュート対策が必須となっており、簡易化のニーズがありました。 <特長>1.業界トップクラスの低導通損失および高速スイッチング性能を達成今回の新シリーズでは、薄ウエハ技術を駆使することで従来品と比較してウエハ厚を15%薄型化したこと、またセルを微細化したロームの独自構造を採用したことで、業界トップクラスの低導通損失(VCE(sat)=1.5V)および高速スイッチング特性(tf=30~40ns)を達成することができました。 2.ソフトスイッチングの実現により、機器の設計負荷を軽減デバイス内部を最適化することで、ON/OFFの切り替えをスムーズに行うソフトスイッチングを実現しました。これにより、スイッチング時に起こるとされる電圧のオーバーシュートを一般品と比較して50%低減できるため、オーバーシュートを抑制するために使用されていた外付けゲート抵抗やスナバ回路などの部品点数を削減することが可能になります。IGBTを使用するにあたり、従来必要とされていたオーバーシュート対策がアプリケーション側で不要となるため、設計負荷軽減に寄与します。 <ラインアップ>短絡耐量2µs保持が特長のRGTVシリーズと高速スイッチング性能が特長のRGWシリーズの2種類をラインアップに加えることで、幅広いアプリケーションに対応できるようになります。RGTVシリーズ(短絡耐量保持版) TO-247NTO-3PFMIGBT単体FRD内蔵IGBT単体FRD内蔵30ARGTV60TS65RGTV60TS65DRGTV60TK65RGTV60TK65D50ARGTV00TS65RGTV00TS65DRGTV00TK65RGTV00TK65D80ARGTVX6TS65★ RGTVX6TS65D--★:開発中RGWシリーズ(高速スイッチング版) TO-247NTO-3PFMIGBT単体FRD内蔵IGBT単体FRD内蔵30ARGW60TS65RGW60TS65DRGW60TK65RGW60TK65D40ARGW80TS65RGW80TS65DRGW80TK65RGW80TK65D50ARGW00TS65RGW00TS65DRGW00TK65RGW00TK65D<アプリケーション>産業機器(UPS(無停電電源装置)、溶接機、パワコン等)、エアコン、IH(誘導加熱) など<用語説明>*1) 導通損失MOSFETやIGBTなどトランジスタではデバイス構造上、電流が流れる際に電圧降下が生じる。導通損失は、このデバイスの電圧降下により発生する損失のこと。*2) IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)MOSFET の高速スイッチング特性とバイポーラ・トランジスタの低導通損失特性を併せ持ったパワートランジスタのこと。*3) 短絡耐量デバイス破壊を引き起こす短絡(電子回路の2点が低抵抗値の抵抗器で接続すること)に対する耐量のこと。*4) 電圧のオーバーシュートスイッチングON/OFFする際に規定の電圧値を超える値が発生すること。オーバーシュートにより電圧の値が一旦定常値を超過してから引き返すようにして定常値に近づく。
業界トップクラスの高効率とソフトスイッチングを両立した
650V耐圧IGBT 「RGTV/RGWシリーズ」を開発
2018年4月17日
<要旨>
ローム株式会社(本社:京都市)は、UPS(無停電電源装置)や溶接機、パワーコンディショナーなどの産業機器やエアコン、IH(誘導加熱)などの民生機器の汎用インバータおよびコンバータでの電力変換に最適で、業界トップクラスの低導通損失※1)および高速スイッチング特性を両立させた650V耐圧IGBT※2)「RGTVシリーズ(短絡耐量※3)保持版)」、「RGWシリーズ(高速スイッチング版)」、あわせて計21機種を新たに開発しました。
今回開発した新シリーズは、薄ウエハ技術および独自構造を採用することで、トレードオフの関係にある低導通損失および高速スイッチング特性において、業界トップクラスの性能を両立しました。例えば、インターリーブPFC回路で使用した場合、従来品比で軽負荷時に1.2%、重負荷時に0.3%の高効率化を達成し、アプリケーションの低消費電力化に貢献します。またデバイス内部の最適化を行うことで、スムーズなソフトスイッチングを実現。同等効率の一般品と比較した場合、電圧のオーバーシュート※4)を50%低減できたことで、従来必要とされていた対策部品などの搭載点数を削減するとともに、大幅な設計負荷低減に寄与します。
なお、本シリーズは、12月より当面月産10万個の体制で量産(サンプル価格400円~/個:税抜)を開始しております。生産拠点は、前工程がラピスセミコンダクタ宮崎株式会社(宮崎県)、後工程がROHM Integrated Systems (Thailand)(タイ)となります。
<背景>
近年、IoT化によるデータ量増加にともない、データセンターの高機能化が求められています。サーバー本体はもちろん、本体電源の安定供給を行うために不可欠なUPSなどを含め、システム全体で消費電力量が大幅に増えており、低消費電力化が課題となっています。
また、IGBTを使用する大電力アプリケーションでは、機器の信頼性確保のため、デバイスの故障や機器の誤動作につながるスイッチング時のオーバーシュート対策が必須となっており、簡易化のニーズがありました。
<特長>
1.業界トップクラスの低導通損失および高速スイッチング性能を達成
今回の新シリーズでは、薄ウエハ技術を駆使することで従来品と比較してウエハ厚を15%薄型化したこと、またセルを微細化したロームの独自構造を採用したことで、業界トップクラスの低導通損失(VCE(sat)=1.5V)および高速スイッチング特性(tf=30~40ns)を達成することができました。
2.ソフトスイッチングの実現により、機器の設計負荷を軽減
デバイス内部を最適化することで、ON/OFFの切り替えをスムーズに行うソフトスイッチングを実現しました。これにより、スイッチング時に起こるとされる電圧のオーバーシュートを一般品と比較して50%低減できるため、オーバーシュートを抑制するために使用されていた外付けゲート抵抗やスナバ回路などの部品点数を削減することが可能になります。IGBTを使用するにあたり、従来必要とされていたオーバーシュート対策がアプリケーション側で不要となるため、設計負荷軽減に寄与します。
<ラインアップ>
短絡耐量2µs保持が特長のRGTVシリーズと高速スイッチング性能が特長のRGWシリーズの2種類をラインアップに加えることで、幅広いアプリケーションに対応できるようになります。
RGTVシリーズ(短絡耐量保持版)
RGWシリーズ(高速スイッチング版)
<アプリケーション>
産業機器(UPS(無停電電源装置)、溶接機、パワコン等)、エアコン、IH(誘導加熱) など
<用語説明>
導通損失は、このデバイスの電圧降下により発生する損失のこと。
オーバーシュートにより電圧の値が一旦定常値を超過してから引き返すようにして定常値に近づく。
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