業界最高の定格電力4Wを実現した厚膜シャント抵抗器「LTR100L」を開発
産業機器・民生機器の高電力化をサポート

 

2021年11月1日
※2021年11月1日現在 ローム調べ

<要旨>

LTR100L

ローム株式会社(本社:京都市)は、産業機器や民生機器などの電流検出用途に最適な厚膜シャント抵抗器「LTR100L」を開発しました。
新製品は、抵抗体材料の見直しと端子温度ディレーティング※1の適用により、厚膜シャント抵抗器の3264サイズ(3.2mm×6.4mm)では、業界最高の定格電力4Wを達成。回路の高電力化が進む産業機器や民生機器のモーター制御回路及び過電流保護回路の電流検出用途に最適です。また、素子構造の最適化により、厚膜シャント抵抗器として業界トップクラスの抵抗温度係数(TCR)※2も実現。温度の影響を受けにくいため、高精度かつ高信頼の電流検出が可能です。
新製品「LTR100L」は2021年9月より月産100万個の体制で量産(200円/個:税抜)を開始しています。生産拠点は前工程、後工程ともにROHM Electronics Philippines, Inc.(フィリピン)となります。 なお、新製品のサンプルは、インターネット商社のコアスタッフオンライン、チップワンストップでも1個から購入可能です(10mΩ、47mΩ、91mΩより順次提供)。加えて、アプリケーションノートなどの、設計時に役立つ各種コンテンツやツールもローム公式Webで提供しています。(シミュレーション用モデル等も順次公開予定)
今後もロームは、創業製品でもある抵抗器において、低電力から高電力に至るまで、省エネ化・信頼性向上に貢献するラインアップを拡充するとともに、LSI、ディスクリート部品とのソリューション提供など、総合半導体メーカーならではの強みを活かし、産業機器や民生機器の進化に貢献していきます。

<背景>

近年、産業機器分野や民生機器分野においては、省エネ化が重視されており、モーターのインバータ化などで駆動時の消費電力削減が図られています。また、これらの分野では、アプリケーションの高電力化が進む中で保護回路の重要性も高まっています。
シャント抵抗器は、モーター駆動回路やバッテリー保護回路において電流検出に用いられる部品で、高効率なアプリケーション動作や回路の信頼性向上のために、さらなる高精度化が求められています。
ロームは、シャント抵抗器のラインアップ拡充に注力しており、直近では、2021年2月より、最大定格10Wを保証する金属板シャント抵抗器「GMR320」を量産。また、2018年4月より、定格電力2Wを保証する厚膜シャント抵抗器「LTR50低抵抗シリーズ」を量産しています。今回の新製品開発により、さらに高電力帯まで厚膜シャント抵抗器のラインアップを拡大しました。

  • ロームの抵抗器ラインアップ
    • 1個から購入可能

<新製品の特長>

1.厚膜シャント抵抗器3264サイズでは業界最高の定格電力4Wを達成

厚膜シャント抵抗器3264サイズでは業界最高の定格電力4Wを達成

新製品は、放熱性の高い長辺電極パッケージを採用しています。また、抵抗体材料の見直しと端子温度ディレーティングの適用により、厚膜シャント抵抗器の3264サイズ(3.2mm×6.4mm)では業界最高となる定格電力4Wを達成しました。同サイズの従来品に比べて、約2倍定格電力を拡大しているため、高電力対応が求められている、産業機器や民生機器のモーター制御回路及び過電流保護回路の電流検出用途に最適です。

2.優れた抵抗温度係数でアプリケーションの信頼性向上に貢献

新製品は、素子構造の最適化により、使用温度範囲内において300ppm/℃以下(抵抗値10mΩ時)という優れた抵抗温度係数(TCR)を達成。一般品と比較して、温度による抵抗値変化を50%~65%程度低減したことで、高精度な電流検出が可能になるため、アプリケーションの信頼性向上に貢献します。

  • 抵抗温度係数比較

<セットの設計工数削減に大きく貢献するツールも準備中>

2021年11月より、シャント抵抗器をパワーデバイスやICと組み合わせて、熱解析ができるWebシミュレーション環境をローム公式Webで提供予定(PSRシリーズより提供開始し、順次展開予定)です。本シミュレーションを使用することにより、アプリケーション設計時に課題となる熱設計を事前にシミュレーションできるため、設計工数の削減に貢献します。また、ロームは、ICやディスクリート部品と組み合わせることで、回路の高効率化、小型化などに貢献する電流検出ソリューションを提供しています。例えば、モーターを使用する回路においては、制御や過電流保護を行うための電流検出回路が必要になりますが、業界トップクラスの低ノイズオペアンプとシャント抵抗器を組み合わせることで、高精度の電流検出が可能になります。

  • 電波検出回路の回路例

<厚膜シャント抵抗器「LTRシリーズ」の製品ラインアップ>

新製品LTR100Lは、厚膜抵抗器のため、比較的容易に抵抗値展開が可能であり、幅広い抵抗値提供が可能です。

品名サイズ略称
mm
[inch]
定格電力
(70℃)
[W]
抵抗値
許容差
抵抗温度
係数
[ppm/℃]
抵抗値範囲
[Ω]
使用温度
[℃]
車載対応
(AEC-Q200)
LTR101220
[0508]
0.5(J ±5%)
F(±1%)
±15047m ~ 9.1 (E24シリーズ)-55

+155
YES
LTR181632
[0612]
10~30010m ~ 18m (E24シリーズ)YES
0~20020m ~ 47m (E24シリーズ)
0~15051m ~ 470m (E24シリーズ)
±100510m ~ 1 (E24シリーズ)
LTR502550
[1020]
20~30010m ~ 18m (E24シリーズ)YES
0~20020m ~ 47m (E24シリーズ)
0~15051m ~ 91m (E24シリーズ)
±100100m ~ 910m (E24シリーズ)
Newicon
LTR100L
3264
[1225]
4※0~30010m ~ 18m (E24シリーズ)-65

+155
YES
0~20020m ~ 47m (E24シリーズ)
0~15051m ~ 91m (E24シリーズ)
LTR100  2
☆ 3
J:±200100m ~ 910m (E24シリーズ)-55

+155
YES
F:0~150100m ~ 200m (E24シリーズ)
F:0~100200m ~ 910m (E24シリーズ)

※端子温度(Tk)=110℃保

☆:開発中

<LTR100Lのアプリケーション例>

産業機器, 民生機器を中心に汎用的に使用可能
· 産業機器(FA機器, モーター周辺回路, 各種電源)
· 民生機器(エアコン, 洗濯機, 冷蔵庫, 掃除機)
· その他(2輪ヘッドランプ, EVスクーター(電動バイク)など)

<ロームが提供するWebシミュレーションツール「ROHM Solution Simulator」について>

ロームの下記公式Webサイト上のROHM Solution Simulator特設サイトにアクセスして、ユーザー登録を行うだけで、簡単にROHM Solution Simulatorを使うことができます。また、ROHM Solution Simulatorの使用に必要なドキュメントも公開しています。

ROHM Solution Simulator特設サイト https://www.rohm.co.jp/solution-simulator

<用語説明>

※1)端子温度ディレーティング
従来の周囲温度ディレーティング が部品の周囲温度を負荷軽減の判定基準に設定しているのに対し、端子温度ディレーティングは部品の端子部温度を負荷軽減の判定基準に設定している。

豆知識 : 端子温度ディレーティングを用いた高電力保証について

※2)TCR(Temperature Coefficient of Resistanceの略)
「抵抗温度係数」のことで、この値が低いほど周囲温度の変化に対する抵抗値変化が少なく、機器の動作ばらつきを抑えることができる。

豆知識 : 抵抗温度係数とは

<リーフレット>

3264サイズ厚膜タイプで4Wの高定格電力を実現 厚膜シャント抵抗器(長辺電極品)LTR100L (PDF:1.07MB)
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