SiC MOSFET
SiC MOSFETは、スイッチング時のテール電流が原理的に発生せず、動作が高速かつスイッチング損失が低いデバイスです。低オン抵抗と小型チップサイズにより、ゲート電荷容量が低減します。また、SiCは高温環境下においてもオン抵抗の増加率が小さいなど優れた材料特性を備えており、シリコン(Si)デバイスよりも省エネと省スペースの点で優れています。
ロームの第4世代SiC MOSFET
最新の第4世代SiC MOSFETでは、短絡耐量時間を改善し、業界トップクラスの低オン抵抗を実現しました。他にも低スイッチング損失、ゲート-ソース間電圧15V対応といった特長を持ち、機器の省電力化にさらに貢献します。
またこの第4世代SiC MOSFETに関しまして、ディスクリートパッケージ品の諸特性について説明します。回路設計やレイアウト手法、評価における注意点についても詳しく解説します。
ディスクリートパッケージラインアップ
SiC MOSFETがもつ高速スイッチング性能を最大限に引き出すことができるドライバソース端子を有するTO-263-7L (7pin SMD)とTO-247-4L (4pin THD) を提供しています。面実装タイプのパッケージを使うことで、実装工程の自動化を実現でき、生産性向上にも貢献します。
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製品概要
第4世代SiC MOSFET
ロームが2020 年に開発を完了した最新の第4 世代SiC MOSFET は、短絡耐量時間を改善し、業界トップクラスの低オン抵抗を実現したデバイスであり、現在ベアチップに加えて、ディスクリートパッケージでの製品を展開しています。車載インバータや各種スイッチング電源をはじめ様々なアプリケーションの劇的な小型化や低消費電力化に貢献します。
特長
1.短絡耐量時間を改善し、業界トップクラスの低オン抵抗を実現
第4世代SiC MOSFET では、ローム独自のダブルトレンチ構造をさらに進化させることにより、トラクションインバータなどで要求される短絡耐量時間を改善し、従来品に比べてオン抵抗を約40%低減することに成功。SiC MOSFETとして業界トップクラスの低オン抵抗を実現しています。(2022年2月ローム調べ)
2.寄生容量を大幅に削減したことにより、低スイッチング損失を実現
ゲートドレイン間容量(Cgd)を大幅に削減したことで、従来品に比べてスイッチング損失を約50%低減することに成功しています。
3.ゲート-ソース間電圧15V 対応で、アプリケーションの設計しやすさを向上
MOSFET では、デバイスをON する際にトランジスタのゲートに一定量の電圧を印加する必要があります。
第4世代SiC MOSFET では、第3世代SiC MOSFET までのゲート-ソース間電圧(Vgs)18V に加え、より扱いやすい15V にも対応しており、アプリケーションの設計しやすさを向上しています。
アプリケーション例:トラクションインバータ
車載トラクションインバータ搭載時には、IGBTと比較してインバータの高トルク・低回転域を中心に、効率を大幅に改善することで、6%の電費を改善(国際規格「WLTC燃費試験」で算出時)できるなど、車載インバータや各種スイッチング電源をはじめ様々なアプリケーションの劇的な小型化や低消費電力化に貢献します。
第4世代SiC MOSFET サポートコンテンツ
評価ボード
Evaluation Board HB2637L-EVK-301
The evaluation board is configured in a half bridge set up and thus allows evaluations in different operations modes such as buck, boost, synchronous buck/boost and inverter operations. The board is equipped with two SiC MOSFETs(SCT4036KW7), isolated gate driver BM61S41RFV-C, isolated power supply required for the gate driver, LDO for 5V supply and easy to interface connectors for PWM signals.
EVK Simulatrion (ROHM Solution Simulator)
・P05CT4018KR-EVK-001 Double Pulse Test
・P04SCT4018KE-EVK-001 Double Pulse Test
・HB2637L-EVK-301 Double Pulse Test
評価基板をモデル化し、第4世代SiC MOSFETのダブルパルステスト環境をオンラインシミュレータに用意しました。動作電圧・ゲート駆動回路・スナバ回路定数などによるスイッチング波形をシミュレーションで評価可能とし、実機評価の工数削減や寄生インダクタの影響評価などで活用いただけます。*ご利用にはMyROHMへの登録が必要です。
ドキュメント
ホワイトペーパー
アプリケーションノート
- 第4世代SiC MOSFETディスクリートパッケージ諸特性と回路設計の注意点アプリケーションノート
- 第4世代SiC MOSFETを用いた5kWインバータ回路
- 第4世代SiC MOSFETを使用した時のアプリケーションメリット
デザインモデル
シミュレーション(ログイン必要)
- [4th Gen SiC] D-001. P05SCT4018KR-EVK-001 Double Pulse Test
- [4th Gen SiC] D-002. P04SCT4018KE-EVK-001 Double Pulse Test
- [4th Gen SiC] D-003. HB2637L-EVK-301_SCT4036KW7 Double Pulse Test
TO-247N (3pin)
- [4th Gen SiC] A-011b. Totem-pole PFC Vin=220V Vout=400V Pout=3.3kW
- [4th Gen SiC] C-016b. LLC Full-Bridge Vin=400V Vout=500V Pout=3.3kW
TO-247-4L (4pin)
SiC MOSFET サポートコンテンツ
評価ボード
Category | SiC Product | Image | Part No. | User Guide | ボード入手 | |
SiC-MOS | Evaluation Board |
SCT4XXX series Trench(4th Generation) TO-247-N | NEW P04SCT4018KE-EVK-001 |
取扱説明書 製品仕様書 |
ネット商社から購入 | |
SCT4XXX series Trench(4th Generation) TO-247-4L | NEW P05SCT4018KR-EVK-001 |
ネット商社から購入 | ||||
SCT3XXX series Trench(3rd Generation) TO-247-4L | P02SCT3040KR-EVK-001 | 取扱説明書 製品仕様書 |
ネット商社から購入 |
ドキュメント
ホワイトペーパー
- パワーデバイスの熱設計を成功に導く 4つのステップ
- SiCパワーデバイスと駆動ICを一括検証できる業界最先端のWebシミュレーションツール「ROHM Solution Simulator」
- 従来のワクチン冷凍庫の課題を解決し、新たな世代の冷凍庫を実現するロームの最先端パワーソリューション
- 採用が進むロームのSiC パワーデバイスソリューション
- LEADRIVE: Design, Test And System Evaluation Of Silicon Carbide Power Modules And Motor Control Units
- Solving The Challenges Of Driving SiC MOSFETs With New Packaging Developments
アプリケーションノート
- 第4世代SiC MOSFETディスクリートパッケージ諸特性と回路設計の注意点アプリケーションノート
- 第4世代SiC MOSFETを用いた5kWインバータ回路
- 第4世代SiC MOSFETを使用した時のアプリケーションメリット
- 5kW 高効率ファンレス インバ―タ回路
- 800V 三相出力LLC DC/DC共振コンバータ回路
- ドライバソース端子によるスイッチング損失の改善
- [NEW]ゲート駆動回路の基礎とデザインガイドライン
技術情報
回路設計・検証
- MOSFET 並列接続時の発振対策
- 第4世代SiC MOSFETディスクリートパッケージ諸特性と回路設計の注意点アプリケーションノート」
- SiC パワーデバイス・モジュール アプリケーションノート
- ゲート駆動回路の基礎とデザインガイドライン
- 測定波形から電力損失を求める方法
- スイッチング回路の電力損失計算
- SiC MOSFET ゲート-ソース電圧測定時の注意点
- スイッチング波形のモニタ方法
- ブリッジ構成におけるゲート-ソース電圧の振る舞い
- SiC-MOSFET ゲート-ソース電圧のサージ抑制方法
- SiC MOSFET のスナバ回路
- パワー測定におけるプローブ校正の重要性 デスキュー編
- バイパスコンデンサのインピーダンス特性
- SiC MOSFET 基板レイアウト設計における注意点
- ドライバソース端子の接続方法
熱設計
- 熱設計とは
- 熱抵抗と放熱の基本
- 過渡熱抵抗データからジャンクション温度を求める方法
- 熱電対を用いた温度測定における注意点
- 熱シミュレーション用 2抵抗モデル
- Pn接合の順方向電圧を用いた温度測定の注意点
- 熱モデルとは(SiCパワーデバイス)
- 熱モデルの使い方
- 熱電対でパッケージ裏面を測定するときの注意点
- 熱抵抗RthJC の測定方法と使い方
モデルとツール
シミュレーション(ログイン必要)
ROHM Solution Simulatorは、部品選定やデバイス単体検証などの初期段階からシステムレベルの検証段階まで、幅広いシミュレーションを実行できるWebシミュレーションツールです。基板発注前に不具合箇所を抽出したり、パワー回路に多いトラブルを未然に防止することが期待でき、アプリケーション開発の大幅な工数削減に貢献します。
TO-247N (3pin)
- [4th Gen SiC] A-011b. Totem-pole PFC Vin=220V Vout=400V Pout=3.3kW
- [4th Gen SiC] C-016b. LLC Full-Bridge Vin=400V Vout=500V Pout=3.3kW
TO-247-4L (4pin)
- [4th Gen SiC] A-011a. Totem-pole PFC Vin=220V Vout=400V Pout=3.3kW
- [4th Gen SiC] C-016a. LLC Full-Bridge Vin=400V Vout=500V Pout=3.3kW
- [4th Gen SiC] D-001. P05SCT4018KR-EVK-001 Double Pulse Test
- [4th Gen SiC] D-002. P04SCT4018KE-EVK-001 Double Pulse Test
- [4th Gen SiC] D-003. HB2637L-EVK-301_SCT4036KW7 Double Pulse Test
- A-001. Boost PFC VIN=200V, IIN=2.5A BCM
- A-002. Boost PFC VIN=200V, IIN=2.5A CCM
- A-003. Boost PFC VIN=200V, IIN=2.5A CCM Synchronous FETs
- A-004. Boost PFC VIN=200V, IIN=2.5A DCM
- A-005. Boost PFC VIN=200V, IIN=2.5A DCM Synchronous FETs
- A-006. Interleaved PFC VIN=200V, IIN=2.5A CCM
- A-008. Interleaved PFC VIN=200V, IIN=2.5A DCM
- A-012. Diode-Bridgeless PFC VIN=200V, IIN=2.5A BCM
- B-011. 3-Phase 3-level NPC-T Inverter POUT=10kW
- B-012. 3-Phase 3-level NPC-I Inverter POUT=10kW
- C006. DC-DC Converter, Buck Converter Vo=250V Io=20A
- C007. DC-DC Converter, Buck Converter 2-Phase Vo=250V Io=40A
- C010. DC-DC Converter, Flyback Converter VIN=800V Vo=25V Io=10A
- C011. DC-DC Converter, Forward Converter VIN=500V Vo=25V Io=10A
- C012. DC-DC Converter, LLC Buck Converter Vo=12V Io=250A
- C013. DC-DC Converter, Phase-Shift Buck Converter Vo=12V Io=250A
- C014. DC-DC Converter, Quasi-Resonant Converter VIN=800V Vo=25 Io=10A
- ROHM Solution Simulator Power Device ユーザーズガイド(インバータ編)