知的財産への取り組み
ロームの中期経営計画では、グローバルメジャーとして売上高1兆円、パワー・アナログ半導体でトップ10に入ることが掲げられており、知的財産戦略においても「パワー」「アナログ」にフォーカスした取り組みが行われています。SiCに代表されるパワーデバイス事業やLSI事業のASSP戦略TOP10製品など、戦略的に売り上げを伸ばす分野で、市場での競争優位性を確保するために、質、量共にふさわしい知的財産ポートフォリオを構築していく必要があります。また、売上高・利益を下支えする生産分野でも、更なる生産性・信頼性向上を目的として、IDMの強みとなるノウハウの創出を推進していきます。
本インタビューは、ROHM Group Integrated Report 2024に掲載されたものです。
グローバルメジャーの実現に向けた知的財産戦略
ロームが採用しているIDMの強みは、技術のすり合わせにより、生産性・信頼性を向上させられるという点です。「回路設計」「レイアウト」「プロセス」からなる半導体製造のすり合わせ技術は、長年培われたノウハウであり、ロームが持続的に成長をする上で、最も重要な知的財産です。
ロームでは2016年度から、ノウハウを属人化させず共通の知恵とするため、社内データベースに登録して活用しています。ノウハウの登録件数は年々増加しており、2017年度には100件未満だったものが、2022年度には300件を超えました。登録されたノウハウは標準書、ガイドライン、デザインルールなどに展開され、量産フロー、装置、ツールなどへ組み込まれ、信頼性、生産性の向上につながっています。
戦略としては、SiC、IGBT※、GaN※などのパワーデバイス関連、LSIにおけるASSP戦略TOP10分野にフォーカスし、これらの高付加価値を実現する技術発明を特許として権利化することで、競争優位性の確保を図っています。
※IGBT:Insulated Gate Bipolar Transistor(IGBT)は、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタの略称です。MOSFETとバイポーラトランジスタを複合化したトランジスタで、低オン抵抗と比較的速いスイッチング特性の両方を備えています。現在、大電力を電圧制御する分野で幅広く使用されています。
※GaN:Gallium Nitride(窒化ガリウム)は、次世代パワーデバイスに用いられる化合物半導体材料の略称です。一般的な半導体材料であるSiに対して物性に優れており、高周波特性を生かし採用が始まっています。
1 2017年の人数で各年の入社1~5年目までの発明者人数の割合を算出
2 本社の従業員