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対談:人財への取り組み

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グローバルメジャーの実現に必要な人財像と人財ポートフォリオ

グローバルメジャーの実現に必要な人財像と人財ポートフォリオ

左から)取締役 上席執行役員 SCM、管理担当 山本 浩史 / 社外取締役 井上 福子

本インタビューは、ROHM Group Integrated Report 2024に掲載されたものです。

グローバルメジャーの実現に必要な人財像と人財ポートフォリオ

山本

国内のお客様を中心に成長してきたロームは、「グローバルメジャー」を掲げ、グローバルで成長する企業に生まれ変わろうとしています。優秀な人財を獲得し、社内でしっかり育成し、結果として企業価値向上につなげていくことが人財戦略といえます。その策定にあたって、2つの点が重要と考えています。まずは対話です。いくら経営層が、事業をこう伸ばしたいと発信しても、社員のエンゲージメントが高くなければ伝わりません。各社員がエンゲージメントを高め、自分自身の能力を発揮できるよう、対話をしていくことを人的資本経営の基本に位置付けています。第二に、グローバルに通用する次世代リーダー、プロフェッショナル人財の育成です。具体的には、昨年度から、グループ全体におけるコアポジションを対象としたグローバル共通の人財マネジメント基盤の構築に取り組んでいます。単に部長以上といった括りではなく、グループ会社もその対象としており、経営への影響度の高いポジションを定め、そのポジションに就く人財のマネジメントについては各社個別ではなく、共通の枠組みを通じた次期経営層へのパイプラインを本社主導でつくろうという取り組みです。この施策によって、コアポジションにふさわしい人財が後継者も含めて、社内でどれだけ充足・育成できているのかウォッチし、今後の採用、育成プランや、企業価値を高める人財ポートフォリオづくりに生かす狙いがあります。

井上

井上
私は外資系企業や国際機関でグローバルな人事に関わってきました。その経験から思うに、「企業は人なり」で、「企業の優劣=人財の優劣」といっても過言ではありません。ロームがグローバルメジャーを目指すには、世界での人財競争に競り勝つ必要があるのです。私がロームの社外取締役となって2年目となります。その間、社員、特に女性社員との対話を重ねてきました。皆さんポテンシャルが高く、会社を愛し、そして貢献したいという意欲が高いと感じます。現在ロームは、誰もが経験したことのない世界に踏み出そうとしていて、別次元の組織になろうと、大きなチャレンジをしています。山本取締役がおっしゃったとおり、これまでの人事制度の延長にない、新たな人財に対する取り組み、組織風土改革は端緒に就いたばかりです。世界の競合と伍していける人財のスキルポートフォリオやマインド、組織のあるべき姿を明確に定義し、その実現に向けて必要な多面的な活動を整合させ、加速していかなければなりません。

 

これまでも、海外トレーニー制度やスペシャリスト職制度を通じて、社員自身によるキャリアパス構築の支援を行ってきました。また、2022年度から、社員が自ら手を挙げて異動できる機会を提供するため、会社主導ではなく社員主導の異動を実現するジョブポスティング制度を導入しています。既に50人程度が制度を活用して、希望する部署で活躍しています。さらに昨年度、MBA/MOT派遣制度を創設し、今年度は3名の社員がMBAの取得を目指しています。こういった制度を通じて、次世代リーダーやプロフェッショナル人財を育てる仕組みづくりを進めていきます。

 

※MOT:Management Of Technology(技術経営)の略。技術の研究・開発や継続的なイノベーションを中心とした経営管理の手法を対象とする学問分野。

イノベーションを促す仕組みづくり

井上

ロームは、「2025年度にロームグループ全体の女性管理職比率を15%以上にし、女性または外国籍の本社役員比率を10%以上にする」という目標を掲げています。ロームは残念ながら女性や外国籍社員への投資が少ないように感じていましたが、今、改善を進めています。これに加えて必要なことは、女性、外国籍社員も含め、誰もが会社の成功に貢献できる組織基盤をつくっていくことです。つまり、風通しが良く、心理的安全性が高い組織づくりです。これらに関わる取り組みも今進めているところです。

山本

ロームが男性社会だったことは否めません。今は、女性や外国籍社員の能力を大いに発揮してもらうための取り組みを検討しています。

井上

上司・管理職の果たす役割はこれまで以上に大きくなると思います。まずは上司が、女性や外国籍社員一人ひとりの強みをよく見て、その強みを生かして成果を上げてもらうようにすることです。その上で、管理職や役員比率の目標値を定めるだけでなく、それらのパイプラインやタレントプールを大きくする目標を掲げ、メンター制度やネットワーキングを活用しながら、育成のための取り組みを行うことが重要です。

山本

山本
イノベーションのために欠かせないのが社員との対話と認識しています。エンゲージメントサーベイを、ローム本社で2021年度と2023年度の2回、ワールドワイドグループ会社で2022年度に実施しました。この調査では3つの課題が浮かび上がりました。第一に社員の思いを経営層が理解できているとは言い難いこと。次に社員が、自分の業務がどうお客様とつながっているか実感できていないこと。そして異なる意見を受け入れられる環境の構築が必要ということでした。それらを改善すべく、経営層の思いをグループ全体に浸透させる取り組みや、組織のリーダーが社員と対話をして課題解決のためのアクションにつなげています。

井上

サーベイを海外及びグループ会社にも導入したことや、各部署の責任者がサーベイ結果を見て対話を重ねている取り組みは、評価できます。健全な組織経営のためには、トップによるコマンド・アンド・コントロールではなく、各組織の長が組織の状態を客観的に見て、組織内でしっかり時間をかけて対話をすることが大切です。現在のところ、実施の頻度が2年に1度と少ないのですが、ポイントを絞ってもよいので、もっと頻度を上げていくべきでしょう。

山本

サーベイ結果には組織ごとの傾向もあり、おっしゃるとおり各組織での対話は非常に重要です。またそこに人事のHuman Resources as Business Partner(HRBP)メンバーが入り込み、全社的な取り組みが必要な課題はしっかりと吸い上げてアクションをとっていく体制にしていきます。

人的資本経営の更なる高度化に向けてロームが取り組むべき課題

山本

エンゲージメントサーベイでは、経営層と社員レベルの意識のギャップが明るみに出ました。ロームには外部でさまざまな教育を受ける機会があるとはいえ、世界に通用するリーダーの育成が不足していると感じています。各分野で他社のトップレベルと対等に意見を言い合える人財を育てるためにも、個人のなりたい姿、能力を徹底してサポートする体制をとっていきます。

井上

世界の競合に競り勝つためには、ワールドワイドグループでポテンシャルのある人財にきちんと目を配り、その成長をサポートしていくこと、さらには世界のトップタレントについてグローバル採用を積極的に行うことが必要です。人財プールは固定的ではいけません。誰でもチャレンジできるよう、門戸を広く開いておくべきです。それは、経営人財だけでなく、ロームが行っているコアポジションに対する取り組みのように、戦略上重要な分野ごとのタレントプールも必要です。人財プールを全社的に展開していくためにも、ワールドワイドグループのタレント全員の強みを「見える化」し、マッチングをしていくことも重要で、その積み重ねが経営人財のタレントプールの広がりにつながっていくのです。

山本

重要かつ戦略的なポジションを特定し、どのようなスキルを持った人がどこに、いつ、どの程度必要なのかを明確にしていかなければと考えています。そこに向けて、経営層でしっかりと議論し、ポジショニングを決め、グループ全体の人財のスキルの「見える化」も進めていきます。

井上

ロームの目指す姿は、これまでの延長線上にはありません。これまでにないことをやっていくことで、逆に伸びしろ、成長のポテンシャルが非常に大きいと感じています。すべての社員が個々の力を発揮し、チャレンジし続けられる仕組みの構築を進めることによって、ロームは企業価値を高め、真のグローバルメジャーへと近づいていくと思います。

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