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製造における取り組み

製造における取り組み

次世代生産ラインの実現により、
持続的な成長に貢献する。

取締役 専務執行役員 COO
ローム・アポロ株式会社 代表取締役社長
東 克己

本インタビューは、ROHM Group Integrated Report 2023に掲載されたものです。

IDMを中⼼としたものづくりによる競争優位性

ロームは企業目的に「品質第一」と掲げています。これは創業者が、当時のラジオの抵抗器が非常に壊れやすいという問題を解決するため、小型で壊れにくい並行リード型固定抵抗器を考案したことに由来しています。品質と供給の安定化を図るには、自社で一貫して生産(垂直統合)し、工程を可視化してトレーサビリティを向上することが重要です。そうしたIDMを重んじる姿勢から、ロームでは設備や装置も自社で開発しています。抵抗器製造から始まったロームが、半導体やLSI、トランジスタ、シリコンウエハ製造などへ進出していったことは、その延長上にあります。新しいものを考案・開発し、製造するというこうした試みは、品質向上に寄与するだけでなく、エンジニアが能力を存分に発揮し、やりがいを持つことにもつながっています。これらは、ロームの安定供給及び製品の高い品質の実現やリードタイム短縮などに貢献するとともに、他社に対する競争優位性となっています。

グループ一体化の組織改革と人財育成で効率化推進

ここ数年で、SiCパワーデバイス市場が急速に立ち上がりました。ロームにおいても、EVを中心に2025~2027年度の3年間で1兆7,800億円のパイプライン(お客様との商談案件)があります。需要に対してキャパシティが圧倒的に不足しているため、2021~2027年度にSiC事業だけで5,000億円超の大規模な投資を計画しており、生産オペレーターも計画的に増やしています。併せて重要なのが、低消費・高効率な第5、第6世代のSiC MOSFETの開発です。高電圧・電流や熱シミュレーションなどの分野で技術者が必要になっています。幸い、40代半ばの中核世代に、専門外から勉強を重ねて、パワーデバイスで世界トップレベルの商品開発を行うようになった技術者が複数いるため、素養がある人財にリスキリングを行えば、育成は短期間で完了するでしょう。ほかに必要な人財としてはデータサイエンティストです。実務作業を行う人員は優秀なIT人財の多いインドで雇用する手段もありますが、日本で指導を行うための主軸となるメンバーの増員が必要です。

また、2023年6月、私は本社COOと兼任でローム・アポロの社長に就任しました。本社から社長が選出されたのは、「ONE ROHM」を推進するためです。今後は工場においても、本社からの指示どおりに製品をつくるだけではなく、上流の思想を理解し、時には設計について意見するような主体性を持ってほしいと考えています。そこで、部長や課長級の人財を異動により本社と行き来させて交流を活発化させるほか、本社機能の一部をマザー工場に移管することを検討しています。本社とグループ会社を一体化させる形で「ONE ROHM」を推進し、効率化することで、パワーデバイスのシェア拡大を進めていきます。

SiCパワーデバイスを中心に生産キャパシティを増強

脱炭素社会の実現に向けて、ロームの主力製品である半導体の役割は、ますます大きくなっています。特に、自動車や産業機器市場では、環境負荷の低減、カーボンニュートラルを達成するため、電動化を中心に技術革新が進み、半導体の需要が前倒しされており、市場の更なる拡大が見込まれています。ロームは製品の安定供給を実現するため、先行投資によってSiCパワーデバイスを中心に、生産能力の拡大を図ります。SiCパワーデバイス向け設備投資は、2021年度に約100億円、2022年度に約200億円の実績があり、2023年度は約800億円を計画しています。2021~2027年度に累計5,100億円、2024~2027年度に4,000億円の投資を実施し、生産能力を2021年度比で2025年度に6.5倍、2030年度に35倍に増強する計画です。当面は筑後、宮崎で増産体制を構築しますが、新工場の取得も進めています。2023年7月には、ソーラーフロンティア株式会社の旧国富工場(宮崎)の資産取得について、同社と基本合意したことを発表しました。同年10月に取得を完了し、今後ロームの主力生産拠点として活用していきます。

SiC事業のキャパシティ増強計画

SiC事業のキャパシティ増強計画

ラピスセミコンダクタ株式会社 宮崎第⼆⼯場の概要

グローバルメジャーを目指すための課題・取り組み

グローバルメジャーを目指すにあたり、製造部門では、着実に品質・コスト・納期(QCD)の改善に取り組むことが必須だと考えています。さらに、お客様が必要なときに必要な量の製品を提供できるフレキシブルラインの開発を進めます。人手を介さない現場や管理の実現に向けて、現在、夜間無人化のチャレンジに取り組んでおり、いずれ大量生産型ラインに展開することが最終目標です。経営体制としては、今後は社内取締役も日本だけでなく海外拠点にもそれぞれ配置するなど、グローバル化の検討が必要だと考えています。グローバル企業は、世界や地球環境に対して果たす役割や社会的責任も一層大きくなります。良い製品の提供のみならず、ESG投資の規模や内容も向上させることで、世界から求められる企業に成長していきたいと思います。

フレキシブルライン

ロームは、独自に培った技術を集約して組み立て工程を自動化した「フレキシブルライン」を2021年4月に稼働しました。故障モード影響解析(FMEA)のもと、加工そのものの実力アップにより製品品質の向上を実現し、生産指示や材料・製品の運搬供給、工具交換、人作業の自動化によりバラつきを極小化し、省人化によって人生産性は従来の2倍に引き上げました。また、工程設計を企画段階から実施することによりリードタイムは従来の1/10となりました。自動車や産業機器市場のように、少量だが長期間安定して製品の供給を望む顧客も数多くいるため、フレキシブルラインはそのような顧客の要望にこたえ、高品質で多品種少量生産が可能なラインとなっています。現在、このラインで量産を行いながらさまざまな技術検証を積み重ねている最中であり、そこで得られた要素技術を今後開発する無人化ワイドラインに生かし、海外工場へ展開するのが当面のミッションとなります。また、ロームの新しい開発技術拠点として「ものづくりイノベーションセンター」の竣工も予定しています。徹底した品質向上及び自動化、省人化により、更なる安定供給を目指し、BCM体制の強化を実現します。

フレキシブルライン導入計画と展望

フレキシブルライン導入計画と展望

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