チップ抵抗器使用上の注意基板設計が抵抗温度係数に与える影響(シャント抵抗器)
何故4端子測定が必要なのか?
シャント抵抗器は、製品の抵抗値と抵抗器に流れる電流値によって発生する電極間の電位差(電圧差)をLSIで読み取ることにより電流値を検出しています。
電極間の電位差を測定する方法として2端子接続と4端子(ケルビン)接続があります。
2端子接続の場合、はんだの抵抗成分が誤差となるため、電流配線と電圧配線を別に設ける4端子(ケルビン)接続を用いて測定するのが一般的です。
シャント抵抗の抵抗値を大きくすることで電極間の電位差も大きくなりますが、抵抗値に比例して発熱するため出来るだけ低い抵抗値が選定されます。
但し、抵抗値が低くなるほど、銅箔やはんだの持つ抵抗成分が誤差要因として無視できなくなります。(下記右図参照)
そのため、電流を流す配線と電圧を測定する配線を分ける4端子(ケルビン)接続を用いる際に、銅箔の抵抗値を含まない適切な配線をすることで、(下記左図参照)
より高精度に電極間の電位差(電圧差)を測定することが可能となります。
抵抗温度係数に影響を及ぼす要因
シャント抵抗器を使用する場合、抵抗値、定格電力、サイズは重要な検討事項になりますが、加えて、許容誤差は検出される電圧精度に影響をおよぼすため考慮する必要があります。
この許容誤差には常温での抵抗値の許容差(F 級品:±1%)の他に、抵抗温度係数(TCR:Temperature Coefficient of Resistance)があります。
抵抗温度係数は製品の温度変化による抵抗値の変化を示す係数で、単位はppm/℃です。
抵抗器は電流が流れる際の消費電力による部品の温度上昇や周囲温度の変化によって抵抗値の変化が発生するため、抵抗温度係数は精度良く電流値を検出するための重要なファクターとなります。
抵抗温度係数に影響を及ぼす主な要因として、以下の4つが考えられます。